「 一流シェフのファミリーレストラン 」
ご存じの方はいらっしゃるでしょうか?
現在も続いているアメリカのTVドラマで、
アカデミー賞・グラミー賞と並ぶ
あの真田広之主演の「 SHOGUN 」も
選出されているエミー賞を獲得している
人気の作品ということです。
しかし、このドラマの題名。
原題は「The Bear」なんですが
邦題のこのセンスの無さ。もうちょっと
なんか違ったのあるだろ笑と、
正直なかなか見る気が起きませんでした。
確かに「The Bear」では
なんじゃい? 熊の話かい?
となってしまうのも分かりますが、
それにしても邦題なんて昭和じゃあるまいし
もう必要ないのではないかと思います。
そんな一見すると退屈そうな名前の
ドラマなので、まあ一話を見て
それから続けて視聴するかどうか決めようと
先々週ついに重い腰を上げました。
舞台はシカゴ。
世界的に有名なレストランの若きシェフで
ある主人公カーミーが故郷のシカゴに戻り、
自殺してしまった兄マイケルの経営していた
イタリア風ビーフ・サンドイッチ店
「ザ・ビーフ」を経営するが、店には
多大な借金があり、キッチンや設備は
使い古しでボロボロ。
さらには働く店員たちは無秩序であり
店内は毎日がカオスであった。
カーミーは若く才能のあるシドニーを
起用して店を立て直すよう奮闘し、
やがて店員たちの支持を得る。
ふんふん、なるほど。
アメリカ北部最大の都市シカゴ。
その大都会と摩天楼の隙間で
荒々しくも人情味も溢れている人々の
雰囲気が、冬にはかなりの寒さにもなる
気候なども含めてしっかりと
画面越しに伝わってきます。
イタリア系移民の末裔である主人公の
ファミリー周辺の登場人物たちで
ストーリーが紡がれていくのですが、
適度な?言葉使いの悪さと口の悪さ。
それが物語のスパイスとなって
小気味良くさせています。
そして一話目のラスト。
主人公が従兄弟である古株店員に
「お前はこの店のシステムを
何も分かっていない!」
「黙ってフ〇ッキン スパゲッティを
作ってこい!!」
と、トマト缶を押し付けられます。
主人公が鬱屈としたストレスを抱えた表情で
そのトマト缶をゴミ箱に投げ入れた瞬間に
エンディング曲がスタート。それが
なんと「 Pearl Jam 」の「 Animal 」!
イントロで一瞬虚を突かれ、
そして痺れました。
これ以上ないくらい雰囲気ぴったりの選曲。
久方ぶりに聞いたその曲は
Pearl Jam が持つグランジ感と、
ドラマ主人公のカーミーの荒涼たる心境と、
シカゴのモノクロな空気とひりつきと渇き。
それら全てと見事にマッチし、
すぐさま私の継続視聴が決まりました。
極めつけはシーズン2の第6話。
この回では通常回が一話約30分なのに対し
倍の60分以上をかけて主人公カーミー
親戚一同のクリスマスパーティを通して、
キャラクターそれぞれの人物像を
深堀していく内容の回だったのですが。
ここでもまた痺れさせられました。
ラストで主人公の母親がとんでもない
行動に出たところでエンディング突入。
そこで流れてきたのは
私が愛してやまなかったバンド
「 WEEZER 」の
「 The Christmas Song 」。
本来であればドラマ自体を全て見終わった
段階で総評し、ここでお薦めするかどうかを
判断すべきなのですが、今回はもうこの
2曲が流れてきた時点で待てませんでした。
レストランで働く登場人物の
一人である黒人女性のティナ(通称T)が、
一度は仕事から逃げだしてしまった
出戻りの同僚男性に放った強烈なワードで
最後は締めたいと思います。
T:
「変化に対応できないバカが多いみたいね」
男性:
「でも、そのバカにはバカなりのやり方が
あって、それで満足していたのかも」
「変化が嫌だったのかも」
T:
「バカなヤツが考えそうなことね」
「で、そういうヤツに限ってまた次の
酷い環境でバッド マザーフ〇ッカーに
こき使われることになるのよ」