2024年6月

現時点での医学の力において人類は、

未だ不老不死を実現できてはおりません。

であるのならば揺るぎの無い事実がひとつ。

私たちはいつか必ず死ぬ。 それが事実。

私もあなたも。

私の周りの人も、あなたの周りの人も。

みな、いつかは必ず亡くなります。

そして私やあなたと実際に接した人たちが

みな亡くなった時。その時には

もう誰も私やあなたのことを覚えていない。

どんな声でしゃべり、どんな表情をして。

立ち居振る舞いはどうかとか、

背格好くらいは映像や写真で

なんとなく掴めるでしょう。

でも本当の意味でその人が放つ空気感や

雰囲気。話す言葉の細やかなトーンや、

身体の動き。肉体的な立体感や

その人が発する香りに至るまで。

本物の生きている私やあなたのことは、

もう二度と誰も思い出せない。

でもそれは、私にとっては

ぜんぜん悲しいことではなく、むしろ

とても自然で良いことだと考えています。

なぜなら自分がやってみたいことに

躊躇なく、挑戦しても良いんだなと

感じられるからです。

どういうことかと言うと、もし私やあなたが

挑戦したり色々と試したりして

残念ながらそれが最悪に近い失敗、または

悪夢のような結果になってしまったとしても

私もあなたもいつかは死ぬので、

そしていつかは全て忘れ去られてしまうので

心配なんてしなくていいんです。

誰もそんなこと覚えてもいないし

みんな自分の人生に精一杯なので、

それらの悪夢や失敗なんて

大したことではないんです。

「 なにを無責任な！」

分かります。

でもどうせ、いつかは死ぬんだし。

永遠の責任なんて誰も取れっこないし。

そもそも死んでしまってこの世におらず

会ったことも、直接話をしたことも

ないような人に、誰がいつまでも根気強く

ねちっこく、執着してつきまといますか？

仮に、非常に少数だけども

まあそんな人がいて、しょうもない感じで

語り継ごうとするかもしれない。

でも大丈夫。

どうせ私もあなたも死んでいますから。

一欠片か二欠片のホネになっていますから。

この岩や、岩に生える苔や雑草も。

空に浮かぶ飛行機雲や、真夜中にさんざめく星たちも。

私のホネも、ホネになった私も。

価値に違いなんて無い。 万物は流転する。